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SIXAXISアナログジョイスティックレバーが乗っている“基盤”と“電気はんだこて”です。 |
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このコテは、中央の黄色いボタンを押すと20Wから130W以上に加熱できるようになっています。コテをその辺に置く癖のある人の場合、“いつの間にかスイッチが押されていて先端がチンチンに赤熱化してしまう”という経験をしています(コテの説明書に“ボタンは30秒以上押さないこと”の注意が記載されている)。このコテは、飛び出しているボタンの頭をヤスリで削り落してあります。(よい子は“はんだこて台”を使いましょう)
また、先端が細いと対象物への熱の伝達が悪く、コテを極端に寝かせて使用しないとならない場合が多いために使いやすい方向へ曲げてあります。
ハイパワーで使用し過ぎると基盤が劣化してしまい、基盤上のハンダがのるパターンが剥げてしまうこともあります。 |
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SIXAXISアナログジョイスティックレバーの取り外しに必要な工具です。エチルアルコール=エタノールは薬局でも入手が可能ですがイソプロパノールが混ぜてあります(これでも問題なし)。今回の作業では100%に近い高純度エタノールを使用しています。はんだ吸引線は幅が3mmほどのタイプを使いました。はんだは1mm線径のタイプで、ストローのように中空になっており、中にはフラックスが入っています。 |
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写真だと分かり辛いのですが、基盤とジョイスティックレバーの間には隙間がほとんどありません。この状態ではドライバーの先端を隙間に差し込めません。第一目標としてはマイナス型精密ドライバー(2mmタイプ)の先端が入る隙間を作ることです。
両指先が基盤に完全に当たるようにジョイスティックレバーをつまみ、引っ付いているものを引き剥がす感じで力を加えます。 |
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裏面には、ジョイスティックレバー固定用の支柱ピンが4本、電気信号を伝えるためのピンが10本、合計14本のピンが1つのジョイスティックから基盤にはんだ付けされています。このはんだを熱で溶かしてジョイスティックレバーを引き抜くわけです。
まずは外周部に近いピンからはんだを溶かします。はんだの溶けが悪い時にはコテの出力を上げたり、熱の伝達がよくなるようにはんだを追加します。この追加のはんだ盛りは非常に大事です。はんだは、長い間熱にさらされていると粘りが出てきてコテ先との馴染みが悪くなり、熱の伝達性が悪くなってしまうのです。新しいはんだの追加はフラックスの追加でもあり、はんだの調子を整える特効薬みたいなものなのです。
はんだに熱が加われば基盤も熱くなります。指先を火傷しないように、基盤を冷ます時間を入れながら作業します。また、はんだを追加する際には細かいはんだの粒が飛び散ることもあるので、基盤上の別の部品やパターン=配線ラインに付かないように注意します。強くはんだこてを当てようとすると、こて先が滑って手に当たることや基盤に傷を付けてしまうこともあります。力を加えるのではなく熱を伝達させるというイメージで軽く扱うのがコツです。 |
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4ピンから5ピンのはんだを一斉に溶かすことができれば、指でジョイスティックレバーを持ち上げて一部に隙間を作ることができます(手が4本あるとやりやすいのですが・・)。ここへドライバーの先端を差し込みます。 |
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ここまでくれば火傷の心配は減ります。ジョイスティックレバーと基盤の間にドライバーの先端を差し込み、ドライバーを人差し指で傾けながら、先端に応力=“てこの原理”が働くように調整しながら各はんだを溶かします。ドライバー先端が基盤側を押すのではなくジョイスティックレバー側を押すように応力を与えます。
各ピンに“はんだ”を追加して数か所が同時に溶けやすい環境を作り、コテを小まめに移動して各はんだを溶かします。基盤上の他の部品等にコテが接触しないように十分に注意します。 |
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全てのピンのはんだを一斉に溶かすことができれば最高ですが、それはまず無理です。ここいら付近を溶かしてジョイスティックレバーの一部を浮かせる、今度はこの付近を溶かして別の一部を浮かせるといった方法で、ジョイスティックを少しづつ基盤から浮かせていきます。あまりジョイスティックレバーを傾けて浮かし過ぎると部分的に加わるテンションが大きくなり、ジョイスティックレバーが浮き辛くなってしまいます。ジョイスティックレバー周りの全ての隙間ができるだけ均等になるように色々な場所にドライバーを差し込むようにします。 |
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SIXAXISアナログジョイスティックレバーが外れました。決して焦らず、少しづつ少しづつ浮かせていった結果です。 |
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ジョイスティックレバーの4か所に、カバーを固定している折り曲げピンがあります。ドライバーの先端でめくるとジョイスティックレバーの底板が外れます。この折り曲げピンは何度もめくり返すと金属疲労で折れてしまいます。 |
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この白い部品がジョイスティックレバーの心臓部です。 |
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ジョイスティックレバーをばらしたところです。各部に、特に底面部に付着している白いゲル状物質はグリスです。恐らく非揮発性のシリコン系グリスではないかと思います。この底面部には小型の押しボタンスイッチが付いています。アナログジョイスティックレバーのつまみを下に押すとONするスイッチです。
バネの力で底に押し付けられた白い部品は、アナログレバーを回すことで底面部を滑り、傾き、またバネの力で中心部のニュートラル位置へと戻るようになっているのです。 |
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バネの力に反発する力が支点に加わり、この反発力がバネの力と安定してつり合う点、つまりバネの力が弱まる方向=ニュートラル位置へと引き戻されます。だから、この支点の状態=接触部が何よりも大事であるということです。 |
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右が正常な部品、左が問題のある部品です。左の部品はひしゃげてしまっているのが分かるでしょうか。材質はPP=ポリプロピレンなのかな。 |
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因みに、ジョイスティックレバーに付いている3本のピンが出ている2対の部品はアナログジョイスティックレバーの左右および上下=X方向およびY方向を検知するボリューム抵抗です。スティックから出ているマイナス型の突起がレバーを動かすと回るようになっていて、この突起がボリューム抵抗を回すことで、3ピンの中心を基本ピンとして左右ピンの抵抗値を変えるようになっています。具体的には、ニュートラル位置では基本ピンと左右ピンのそれぞれの抵抗値は5KΩ、レバーを倒すと基本ピンと右ピンが2KΩで基本ピンと左ピンが8KΩになるといった具合です。このボリューム抵抗は引っ張ると外すことができます。
治したジョイスティックレバーを元通りに取り付けるためには、基盤上の余分なはんだをきれいに取り除かなければなりません。これには“はんだ吸い取り線”を使います。 |
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はんだとコテの間に吸い取り線を挟んで熱を加えると、はんだが吸い取り線に拡散吸収されるのです。ここでも“はんだ=フラックス”を追加しながら吸い取り線を使います。はんだを取り除くために“はんだを追加する”なんて相反したやり方に見えますが、先程の説明通り、熱を加えるとフラックスが変質してはんだ自体に粘りが出てきてしまいます。こうなるとはんだは、全く吸い取り線には吸収されなってしまうのです。吸い取り線に“はんだ”が吸収され始めたら、吸い取り線を動かして、はんだが浸透し切っていない部分を目的部へ持っていくようにします。
他の“はんだ”吸い取り方法としては、“はんだ吸い取り機”というものも販売されています。熱ではんだを溶かしながらコテ先端の穴からはんだを吸引する優れモノの機械ですがお値段高めでございます。 |
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作業中は基盤も熱くなるため、基盤を置いている地面が焼けないように工夫する必要があります。今回はペンチの柄に載せて作業してみました。これは与える熱が地面に逃げてしまうことを防ぐ役割にもなっています。因みに今回は、説明のために両方のジョイスティックレバーを外してあります。
吸い取り線に、うまくはんだを吸収できてもピンが通る穴にハンダが残る場合があります。その場合は、詰まっている穴に、再度はんだを盛り直して吸い取り直します。この盛り直しは新鮮なはんだが与えられるため、更に吸い取り線への吸収が行われやすくなります。 |
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基盤を明りに向けて穴の空き具合を確認します。基盤は熱で焦げた茶色いフラックスで汚れていますが、全ての穴が空いていることが確認できます。 |
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この汚れはエタノールで溶かしてきれいに拭き取ることができます。エタノールをたっぷり浸した綿棒でごしごしと洗うように拭き取ります。粗拭き用と仕上げ用に分けて綿棒を使い分けます。はんだやフラックス等に含まれる成分の一部がコテの熱によって熱分解生成物となり、エタノールには溶けない物質になって基盤上に残留することがあります。この場合はピンセットの先で軽く削ります。当然のことながら力を加え過ぎると基盤に傷が付いてしまうので、軽いタッチで行うようにします。 |
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SIXAXISコントローラー基盤の右側がきれいに拭き取れたところです。 |