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いよいよ、白部品の複製に入ります。まずはニトフロンテープ(厚み0.08mm×幅25mm)をめくり上げて先端をニッパでカットします。
このテープはPTFE製の極薄テープで、片面を酸性ガスかなんかで表面処理しているようです。 |
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めくったテープにドリル刃(φ1.5mm)を宛がいます。
巻き付けが行いやすいように、適当な長さにテープをカットしてからドリル刃の軸に、1周だけテープを巻きます。 |
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余ったテープはニッパでカットします。 |
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テープを1周巻き終えたところです。テープの境目はほとんどありません。幾分の隙間ができるのは“よし”としてもテープが重なっているのは具合が悪い状態です。 |
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今回は、型取り用に“ブルーミックス”を使いました。白材と青材を同量混ぜると硬化し始めるシリコン製の粘土のようなものです。取り出す時に、微量でも混じり合わないように注意します。 |
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マーブル部が残らないように混ぜ合わせます。始めは“ナン”の生地のような柔らかさですが、すぐに硬化が始まり、5分も経過しない内に“パパの踵ほどに”固くなります。 |
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正常な白部品を、ニトフロンテープを巻いたドリル刃を差し込んだところです。幾分テープが剥がれたりもしますが気にせずに進めます。奥まで押し込むようにして、1cm以上はドリル刃の柄が飛び出すようにします。 |
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これをブルーミックスに差し込みます。差し込む面を平らに整形しておくといいと思います。 |
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ある程度まで手で差し込んだらピンセットを使って更に内部へ押し込みます。白部品には帽子に例えると鍔=ツバがあり、この鍔の部分がきれいな円形で、しかも厚みを持つ必要があるのです。 |
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15分以上硬化時間をおいたら、ドリル刃を抜き取ります。 |
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型取りがうまくいったところです。この穴に造形材を流し込んで複製品を作るわけです。再度ドリル刃にテープを巻き直しておきます。 |
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造形材=プラリペアの中身です。中央に見えるビン入り溶剤を使ってプラスチック粉を溶かして造形補修するため、接続部は一体化した分子構造となり強烈な接着力を持ちます。
ポリプロピレンやテフロン等の化学安定性の高い樹脂製品を溶かすことはできまでんが、塩化ビニルやアクリル等には抜群の接着効果を発揮します。これを白部品複製の材料にするのです。 |
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造形材プラリペアの箱の中には“型取り君”という名の熱軟化性物質が入っていますが、軟化しても固さが残るのでブルーミックスを使いました。
硬化したブルーミックスの穴の中央に、ニトフロンテープを1周巻いたドリル刃を突き立てます。柄に巻いたPTFE製のテープが、これから注ぎ込むプラリペアを絶妙にはじいてくれるのです。
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注射針付きスポイトを用意します。これは溶剤吸い込みスポイトと溶解樹脂粉玉移動を兼ねています。
次に溶剤の入ったビンの蓋を開けます。歯医者さんに行くと味わうことができる何とも言えない香りが漂います。中の栓および蓋は、使用が終わったらしっかりと、確実に、念入りに閉める必要があります。これを怠ると保管中に蒸発してしまいます。 |
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樹脂粉が入った入れ物の蓋を開けたら、ビンの溶剤をスポイトで吸い込みます。スポイト先端の針穴から樹脂粉の中に溶剤を垂らします。
溶剤の揮発性が高いため、スポイト内の圧力が上昇して必要以上に先端針から溶剤が出てきてしまう場合があるので、その時はビンの中に針を入れて吸い込み直します。 |
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樹脂粉の上に垂れた溶剤は、溶解した樹脂粉の固まりになっています。きな粉の上に黒蜜を垂らしたイメージでしょうか・・葛餅に付けて食します。(この樹脂粉は食べれませんよ)
溶解樹脂粉玉にスポイトの針を刺して持ち上げます。これを目的の場所に、針先に樹脂玉が付いた状態で移動します。スポイトを押えて溶剤を出すと、溶剤を追加された樹脂玉は線香花火のように落下します。
針に空いている穴は2か所あって、これらの作業が行いやすいようになっています。 |
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これを繰り返して、穴の中に溶解した樹脂粉を注ぎ込んでいきます。この樹脂粉は何種類かの色があります。図のものは半透明タイプのものです。(白色タイプがやりやすい) |
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30分ほど経過したらドリル刃を掴んで引き抜きます。更にそのまま1時間以上放置してしっかりと硬化させます。
充分に硬化する時間をおいたら、ドリル刃から造形材を引き抜きます。 |
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造形物プラリペアにはバリがあるのでニッパでバリを落とします。深く切り過ぎないように注意します。
この造形材に空く穴径は1.5mmでは狭いので、ドリル刃の柄にニトフロンテープを1周巻く必要があるのです(この穴に通る棒がジャスト1.5mmなのだ)。穴が小さいとジョイスティックの動きが非常に重くなり、白部品が破損する場合もあります。 |
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床に紙やすり(粗度#240)を敷いて造形物の底面を削っていきます。
できるだけ平らに平行になるように削ります。
鍔の部分の厚みは0.7mm〜1mm弱程度になるまで紙やすりで削ります。鍔が薄いとジョイスティックレバーの動きは軽くなりますが部品の耐久性が悪くなり、厚いと部品の耐久性は高くなりますが動きは重くなってしまいます。 |
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次に、再びテープを巻いたドリル刃を用意しますが、根元の方を1cmほど空けてテープを貼り、造形物を図のように差し込みます。 |
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この1cm空けた柄のところを電動ドリルに取り付けます。やりやすくするために紙やすりを缶等に巻いて、造形物の鍔の部分を押し当て、ドリルの回転によってきれいな円形になるように削ります。削り過ぎないように注意します。造形物を紙やすりに強く押し当て過ぎると、ドリル刃だけが回転してしまいます。 |
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形が整ったら、次に仕上げの削りに入ります。0.5um=0.5ミクロンの水やすりで造形物の底面部に磨きをかけます。磨いた面がツヤツヤのピカピカになるのが気持ちいいほどです。 |
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ニトフロンテープを適当な長さに切り、粘着面を上にして置きます。造形物の底面にアロンアルファを少量塗ります。付け過ぎると造形物の穴が塞がってしまいます。 |
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これをテープ粘着面側に乗せます。アロンアルファが乾き切らない内にティッシュペーパーのこよりで、はみ出したアロンアルファを拭い取ります。テープの粘着力だけでは弱過ぎるので瞬間接着剤の力を借りるというわけです。 |
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アロンアルファが乾き切るまでは意外と時間がかかります。最低でも2時間以上はおいてからニッパで余分なテープのはみ出しを切り落としていきます。この時にはみ出し部を全て切らないようにして1mm弱ほどの幅を残しておくのがミソです。
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更に造形物の底面に張り付けたテープにドリル刃を使って中心穴を開けます。
最後に一番薄い先端の筒部をニッパで落とせば白部品の複製品の完成です。この筒部を残しておくと、やがては崩れてしまい、アナログジョイスティック内部のゴミになってしまうからです。工夫して筒部の厚みを大きくすることもできるでしょうが、簡単な方法を選択しました。 |
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複製に使用した工具や部品たちです。 |
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完成した白部品です。 |